御池通シンボルロード
京都市
GK京都のデザイン支援
京都市の中心部を東西に走る御池通の街路景観整備プロジェクトに参画。時代や流行に左右されない街路景観を目指し、シンプルで普遍的なデザインを追求しました。照明柱、信号柱、標識、サイン、バスシェルター、歩道舗装など、さまざまな街路設備を横断し、景観全体のデザインコンセプトと意匠を手がけました。
異なる管理主体によって整備される設備を、個別のものとしてではなく、ひとつの街路景観を構成する要素として捉え、京都のメインストリートにふさわしい、統一感のある都市空間の実現に貢献しました。
背景
御池通シンボルロードへの取り組みは、京都のメインストリートがどうあるべきかを考えるGK京都の自主研究から始まりました。
1994年に開催した「総合デザインの風景」展では、世界から訪れる人々を迎える京都を「迎賓都市」と捉え、都市景観を支えるさまざまな装置のあり方を提案。これがきっかけとなり、御池通の街路景観整備プロジェクトへの参画につながりました。
京都市の中心部を東西に走る御池通は、市民の日常生活を支えるとともに、世界から多くの観光客が訪れる通りです。1997年の地下鉄東西線開業を契機に進められた「御池通シンボルロード整備事業」は、表層的な景観整備にとどまらず、将来にわたって京都市民に愛され、定着する街路空間を目指すものでした。
課題・目指したこと
景観デザインの基本に据えたのは「京都らしさ」。御池通の役割を「みち・にわ・ぶたい」という3つのキーワードで捉えました。「みち」は、幹線道路としての機能性と安全性を備えた場所。「にわ」は、人が歩き、立ち止まり、楽しみながら過ごせる快適な場所。そして「ぶたい」は、祇園祭の山鉾巡行をはじめ、京都の文化や行事が繰り広げられる場所です。
道路を単なる交通インフラとしてではなく、人々の暮らしや文化を受け止める都市の公共空間として捉え、その多様な役割を支える景観を目指しました。
コンセプト
デザインの基本としたのは、「不要なものはできるだけ見せず、見えるものは美しく見せる」という考え方です。通りの主役は、そこを行き交う人々や建物、街路樹、そして祭りや行事によって生まれる風景です。道路舗装や照明、サインなどの街路設備は、それらを引き立てる「黒子」であるべきだと考えました。
デザインプロセス
御池通シンボルロード整備事業には、行政をはじめ、土木、造園、照明、サインなど、多くの専門家や関係者が携わりました。
基本的なコンセプトやデザインの方向性を共有し、各分野のワーキンググループによる実現性の検証や、大学教授などの有識者による助言を重ねながら、具体的な整備へとつなげていきました。異なる専門領域や管理主体が関わる大規模な公共事業において、共通のデザインコンセプトを持つことが、街路全体の統一感を実現する重要な基盤となりました。
弊社も景観デザインの立場からこの取り組みに参画し、関係者との協働を通じて、構想を具体的な街路景観へと結びつけていきました。
具体的な表現
-
通りのノイズを抑えたシステム柱 GKデザイングループが考案した集合柱の発想を生かした「システム柱」は、照明、信号、標識など、それぞれ独立して設置されていた設備をひとつの柱に集約し、煩雑になりがちな街路景観を整理するものです。必要な機能を満たしながら、存在を過度に主張しない、シンプルな造形にまとめました。

-
京都の瓦と色を揃えた舗装 舗装の色彩には京都の瓦を思わせる3色を採用。道路という大きな面積を占める要素を落ち着いた色調で整え、周囲の建築や街路樹と調和する景観をつくりました。
-
歩行者視点でつくるストリートファニチャー 交差する道の名称や現在地を示す「辻標」には、文字の精度や素材の質感に配慮し、情報の分かりやすさと景観との調和を両立。歩行者用の照明は、人のスケールに合わせた小ぶりな形状とし、温かみのある光で夜の街路を演出しました。

-
もの単体ではなく景観全体をデザイン バスシェルターや自転車置き場なども含め、個々の設備の造形だけでなく、通り全体の連続性や統一感を大切にしています。

社会にもたらした価値
約3年にわたって取り組んだ御池通シンボルロードは、都市を構成するさまざまな要素を横断的に捉え、景観全体の調和を目指したプロジェクトでした。そこにあるのは、目立つ造形によって京都らしさを表現するのではなく、人々の営みや歴史、文化が自然に引き立つ環境を整えるという考え方です。
整備から20年以上が経過した現在も、御池通のトータルデザインは古さを感じさせることなく、周囲の建築や街路樹と調和した美しい都市景観を保っています。時代に左右されないシンプルさを追求したデザインは、狙いどおり街に自然に溶け込み、日々の暮らしや祭り、さまざまな活動を支え続けています。
Credit
- クライアント
- 京都市
- ステークホルダー
- 全日本コンサルタント株式会社 株式会社日建設計
- プロジェクト実施期間
- 1997年 – 2003年
- 場所
- 京都市
- 領域
- 景観デザイン



