「染型の進化と拡がり 近代~未来へ」 展覧会のデザインプロデュース
令和7年3月14日~16日、京都市勧業館みやこめっせ(B1F)日図デザイン博物館で「染型の進化と拡がり 近代~未来へ」展が開催されました。
株式会社GK 京都は、展示コンセプト立案をはじめ、展示ディスプレイや会場サイン、広報ツールの全体デザイン、運営サポートまでを担当いたしました。
本展覧会は、昭和初期から平成にかけて京友禅の小紋型彫刻士として活躍した立木茂氏(1932-2020年)が残された1万枚以上の手彫り染型紙や型彫りの道具、図案、小紋帳、刷見本、図案発想のスケッチなどの貴重な資料が2021年11月に立木氏の奥様からのお声がけで京都染型協同組合に寄贈されたことをきっかけとして企画が始まりました。
時代は立木氏現役時代の昭和初期から平成までのものであり、個人の歴史と共に戦前戦中戦後の染型職人の歴史を感じさせるものでした。
奥様の「立木紙型店の仕事、染型を何かに活かしてほしい」という思いを受け止め、京都染型共同組合として活かす方法を模索することとなり、奥様やご親族の了解のもと、まずはその美しい文様のデータ化から始め、立木氏の品物と合わせて、その活用を報せる展覧会開催の運びとなりました。
導入展示:染型職人の手業と歴史 ~立木茂コレクション~ ゾーン
導入展示「染型職人の手業と歴史」では、立木氏の品々から厳選した染型を中心に、脈々と受け継がれてきた「小紋友禅 寫眞(しゃしん)型 立木紙型店」染型事業の世界が感じられる展示を目指しました。特にこだわったのは、染型の文様を美しくわかりやすく、リアルにご覧いただくために実際に布を染める際に使うオートスクリーン型枠を使用した内照型ディスプレー台の設計です。ここでは、鮫小紋8点、糸目4点、一刀彫18点の30点の生型を展示しました。また、染型の強度を上げ保持する紗張り(しゃばり)染型は、吊るし展示に照明を施すことで影絵として文様を壁面に映し出す手法を用いました。
左:オートスクリーン型枠を使用した内照型ディスプレー台
右:紗張り染型の文様が浮かびあがる吊り展示
左:立木氏の仕事場を感じる当時の道具たち
右:文様に合わせ手作りされる彫刻刀
左:刷サンプル・カタログであり、下絵でもある、絵刷り
右:継承されてきた貴重な資料の数々(大正~昭和初期)
「立木コレクション 現代への展開」ゾーンでは、京都染型協同組合が保有する立木氏の染型文様デジタルアーカイブ(Tachiki collection 726柄)の公開とともに、布地はもちろん、陶器や漆器、革、金属、木、ガラス、アクリルなど、立木染型文様を現代の技術を用いて展開した様々な品物の展示を行いました。
「京都染型協同組合 立木コレクション・デジタルアーカイブ」
ご利用の相談は、京都染型協同組合までお問い合わせください。
左:京扇子(美来工藝)
右:清水焼(京都日吉製陶協同組合)、装飾合わせガラス(木村染匠)
左:「技の色」の配色による染色反物(京都市産業技術研究所)
右:オーガニックコットン草木染(藤木友禅型製作所)
左:シルクスクリーンプリントシャツ(Pagong)
右:清水焼(京都日吉製陶協同組合)
ガラス、アクリル、木、アルミ、ステンレスなどへのレーザー彫刻(三彩工房)
「立木コレクション 現代への展開」作品制作展示事業所:
京都市産業技術研究所、木村染匠、京都日吉製陶協同組合、谷口染型工房、潮田金彩工房、京都レザー協会、京都市営地下鉄、
Pagong、藤木友禅型製作所、京都漆器工芸協同組合、美来工藝、三彩工房
「職人の技術」ゾーンでは、伝統的な型彫りとデジタルトレースの技術を間近で大画面を通してご覧いただく実演展示や京都染型協同組合の技術をつくした作品展示、職人による子供たちのための型染体験の展示を行いました。
左:手彫り型彫り
右:デジタルトレスによる型データ制作
「現代から未来へ」ゾーンでは、組合員の最新の仕事、作品の紹介、染型制作の技術を展開させた切り絵作家のライブパフォーマンスも実施し、多くの来場者に染型をお楽しみいただくことが出来ました。
切り絵作家 黒猫モモさんによる切り絵ライブパフォーマンス
主催 京都染型協同組合 http://kyoto-somegata.or.jp/
(奥村写真型, 格地染型, 工房 久, 久城写真型, 児嶋染型, 三彩工房,双 翔, 泰平工芸,
谷口染型工房, 辻染型, 藤木友禅型製作所, 前田染型, 増田染型, 美来工藝, モンダ写真型製作所)
共催 (地独)京都市産業技術研究所 https://tc-kyoto.or.jp/
後援 京都府、京都市、京友禅協同組合連合会