道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
GK京都のデザイン支援
「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」の内装調度品をプロデュース・ディレクション・デザイン。愛媛県の伝統工芸と松山市の観光をつなぎ、作品開発から空間演出、地域・職人との協働まで、トータルにコーディネートしました。
デザインの持つ「課題整理」「ファシリテート」「ビジュアライズ」「デザイン提案」と、それらを統合する「デザインマネジメント」によって異なる分野や人をつなぎ、新たな価値を生み出す「クリエイティブ・ハブ」の視点から取り組んだプロジェクトです。
背景
愛媛県松山市にある道後温泉は、約三千年の歴史を誇る日本最古の湯といわれており、古事記や万葉集にも登場します。その発展には、初代道後湯之町町長・伊佐庭如矢が掲げた「百年経っても他所が真似できないものを」という理念がありました。
その精神を受け継ぎ、本館の保存修理工事を契機に、新たな温泉文化の発信拠点として2017年に開業したのが「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉」です。
課題・目指したこと
道後温泉本館の保存修理工事による一時的な観光客の減少が懸念される一方、愛媛県の伝統工芸も、市場価値の差別化や現代のライフスタイルへの適応、担い手不足などの課題を抱えていました。
そこで、松山市の観光と地域の伝統工芸をデザインの力でつなぎ、その土地ならではの歴史や文化を新たな価値として発信することを目指しました。
コンセプト
飛鳥乃湯泉では、伝統工芸による空間演出を通じて地域の歴史を体験できる「温泉美術館」をコンセプトに設定。古来より人が集う「ゆ」を媒体として地域の魅力を再生し、百年先も賑わいが続く温泉地を目指しました。
デザインプロセス
既存の伝統工芸を単にモダナイズするのではなく、それぞれの工芸が抱える課題や背景に向き合い、新たな価値を生み出すことをデザインの方針としました。
職人の技術や表現を深掘りし、歴史や土地とのつながりを紐解きながら、新たな表現や技術を掛け合わせた作品を提案。工芸作品だけでなく、その土地の歴史や文化に出会い、伝えたくなる体験までをデザインしました。
また、行政・地域企業・職人など異なる立場の人々をつなぎ、課題整理やファシリテーション、ビジュアライズを通じて、共通のビジョンを描きながらプロジェクトを推進しました。
具体的な表現
愛媛県の伝統工芸を新たなかたちで空間に取り入れました。
休憩室や浴室を彩る伝統工芸
社会にもたらした価値
飛鳥乃湯泉を起点に、伝統工芸の新たな市場や表現の可能性が広がりました。若手職人の起用や職人同士のコラボレーション、地元企業による商品開発など、分野を越えた新たな地域連携も生まれています。
また、愛媛各地の文化を紹介することで、道後から県内各地へと観光の回遊を促すきっかけを創出しました。
伝統工芸を「保存するもの」にとどめず、観光や地域産業と結びつけながら新たな価値を生み出すことで、地域の文化を未来へつなぐ仕組みへと発展しています。
Credit
- クライアント
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
- プロジェクト実施期間
- 2015年〜2017年
- 場所
- 愛媛県 松山市
- 領域
- プロデュース アートディレクション 空間デザイン
- 担当
- 清水 響 名倉 剛志
- 受賞
- グッドデザイン賞 2018












