デザインを担当したヤマハ発動機の船舶制御装置が2026年度グッドデザイン賞を受賞
弊社が製品デザインを手掛けた、ヤマハ発動機株式会社の船舶制御装置「Helm Master EX Wireless Station」が2026年度グッドデザイン賞を受賞しました。

◼︎概要
本製品は、「ゲストを喜ばせるために、まず船長が楽しむこと」を考えて開発をスタートした、片手で直感的に操船できるワイヤレスコントローラーです。ヤマハ発動機のマリン事業におけるビジョン「マリン文化を変える、日常が変わる。」を体現しました。
プレジャーボートは船体が大きく、波など外部からの力を常に受けるため、操船には高い技術と集中力が求められます。特に釣りなどのマリンアクティビティでは、操船席に拘束されることで、アクティビティへの没入が妨げられることもありました。本製品は、船長を従来の操船席から解放し、海の上でより自由に、安心してアクティビティを楽しめる環境を目指して開発されました。
◼︎特徴
本製品は、沿岸や荒天時など揺れる船上でも、片手で確実かつ直感的に操作できることを徹底的に追求しています。
濡れた手でも握りやすく、かつ滑りにくくするため、底面にはシボ成型されたエラストマー素材を採用し、手の大きさや利き手の違いに配慮した、握りやすく、操作しやすい本体形状と操作子を設計。10個の物理ボタンによる直感的なモード切替により、コントローラーを持ち替えたり両手を使ったりすることなく、必要な操作を行えるようにしました。また、直射日光下でも必要な情報を確認できる視認性の高いUI(User Interface)や、落水時に本体が水に浮く構造、乗船者の落水を検知するシステムなど、海上での使用環境を考慮した機能を備えています。
さらに、片手で扱える小型・軽量な筐体を実現するため、すべての部品を見直し、0.1mm、0.1g単位で設計を追求。内部部品の配置にもこだわり、手に持った際の重量バランスを最適化しました。
これらの仕様は、主要市場であるアメリカで複数年にわたり試作品の検証を重ねながら開発。Miami Boat Showなどで実際のユーザーから評価を得ながら、「片手で操船ができる」というコンセプトを、機能と意匠の両面から具現化しました。

◼︎審査員コメント
操船席に固定されていた船舶操作をワイヤレス化し、操船者自身が最も状況を確認しやすい場所へ移動できるという、操船体験そのものを再設計した点を高く評価したい。片手操作を前提としたコンパクトな筐体に、ジョイスティック、オートパイロット、位置保持、船外機操作など多くの機能を統合しながら、操作体系を明快に整理している。落水検知機能まで一つのシステムとして組み込むことで、利便性と安全性を同時に向上させた。技術を増やすのではなく、人と船の関係をより自由にする優れたインタラクションデザインである。
グッドデザイン賞公式サイト